小さな会社がひとりの人を採用するということについて考える
従業員30人規模の会社を想像してください。
1人採用することのインパクトはどれほどのものか
約3%
僕の前職は監査法人で、4000人を超える人材を抱えていました。
4000人の3%で120人です。
120人の採用の意思決定をするのにどれだけの労力を費やしていたか。
もちろん労を費やせばいい人材がとれるというわけではありません。
けれど、30人規模の会社でひと一人採用する重みをあまりにも軽んじていないか。
ここ数ヶ月人材採用を担当していて感じたことです。
採用担当者だけでなく、その規模の会社に飛び込もうとしている人にもこの重みを知ってもらいたいです。
大げさにいえば、あなたが組織に貢献できないとうことは、4000人の組織で120人全員が組織に貢献しないことと同じようなものです。
いまいちど、自分がその組織に参画することがどういうことかということを、考えてみるのもいいかもしれませんね。
予算でできる3つのこと
なんのための予算か
ベンチャーで初めて予算を作るといったら、それはやっぱりファイナンスのタイミングなんでしょう。そのせいか、「予算=ファイナンスのための道具」というように認識されてることがあるようにおもいます。
ファイナンスのための道具であることは間違いないのですが、それだけのものとして捉えてしまうのはやはりもったいないです。
そこで予算でできることを自分なりに考えてみました。
予算でできる3つのこと
■経営方針を具体化する
例えば、飲食業で考えてみます。
大枠の事業方針として、店舗数の拡大を掲げているとします。この情報だけで予算が組めるかというともちろん無理です。店舗数の拡大だけでは漠然とし過ぎていて、予算を組むためには+5店舗なのか+10店舗なのか倍なのか、具体的に数字まで落としこむことが必要です。そうすると予算を組むにあたって、+5店舗が最適なのか、+10店舗が最適なのかを真剣に考えて現時点での結論を出すことになります。あくまでも現時点の。
その結果、漠然としていた事業方針が一気に具体化してきます。+5店舗にするためには、いつまでにどの物件借りて、設備も買って、人もあてがわないといけない、そしてそれを実行するためにはいくら必要で…こんな感じで、大枠の事業方針が予算というフィルターを透ることにより具体的になるのです。
また、副産物としてシード・スタートアップ期にはとても大切な資金繰表ができて、あと自ずとKPIもみえてきますね。
■経営方針の変更をする
ただ、経営環境がかわることは往々にしてありますし、立てた計画通りいくことなんて万に一つもありません。つまり予算というものは早々にして絵にかいた餅にかわってしまいます。じゃあ予算なんて立ててもやっぱり無駄じゃん。いやいやそんなことはありません。経営方針を変更するときにもすごくに役に立つんです。
引き続き飲食業の例ですが、予算上は年内+10店舗を目標にしました。ただ足もと業績好調だったので、目標を+15店舗に引き上げたほうがいいのではないかという議論がでました。ここで+5店舗にするにはヒト・モノ・カネといった経営リソースが足りないので、調達する必要がでてきます。
しかしながらいったいどの程度リソースが不足しているのか、確保しなければいけないのか、また、ヒト・モノを増やすことでどの程度リスクも増えるのか(つまり費用負担が増えるのか)がわからないと、なかなか経営判断しづらいです。
このとき一から数字を積むのと、今ある予算を修正するのではスピードがまったく違ってきます。つまり一度しっかりと予算を作ってしまえばそれをベースにできるので、もとの経営判断をかえたときにどういう影響があるかを適時に予測することができるようになります。
その意味で、予算というのは経営方針の変更時にも多いに力を発揮するのです。
■経営方針の結果を知る
結果を知るというのは大げさですが、現状の仮定のうえでの結果がわかるという意味です。ビジネスは最終的にいくら儲るが大事なので、やはりとった経営判断の結果利益がいくらになるかは常に意識しておく必要があるとおもいます。
壮大な事業展開を掲げてみたものの、実際に数字を積んでみると意外とスケールしないね。リスクの割にリターン少ないね。みたいなことはまぁあります。そういった場合には抜本的に経営方針を見直す必要があるのですが、日々の業務に追われていると意外とそういった根本的なとこを見直すことを忘れていて、立ちいかなくなることがあるので気をつけないといけません。
予算策定は必須か
以上3つ、予算でできることを考えてみました。しかし、すべてのステージ・業種で予算が威力を発揮するわけではないのもまた事実です。
感覚的にはアーリーからミドルにうつるぐらいのタイミング、複数セグメントある会社ではかなりの威力を発揮しますが、シード期、単一セグだとその効果はおちるようにおもいます。
もちろんあったほうがいいのは間違いないですが、どれだけのリソースをかけて作って日々メンテして(作って終わりじゃなくメンテが大事なので、その管理コストはそこそこかかります。)をやるかという、コスト・ベネフィットの問題なんですけどね。
スタートアップからの専門家選び
その専門家で大丈夫?
先日「ソーシャルランチ」のシンクランチさんにIGPIが出資というニュースが出てましたね。ミドル・バックオフィス系の専門家の知識をスタートアップの段階で使えるってのはとてもいいことだとおもいます。創業当初は間接業務に避けるリソースがないので、どういったかたちでそこをカバーしていくか。その一つが出資を受けるという方法ですね。
こういった座組が増えてればいいなぁとおもうのは、逆に残念な座組も見てきているからです。
こんなこと言ったらあれなんですが、お世辞にも成長途上にあるベンチャーを支える力量があるとはいえない専門家の方々っています。
最近はIT系のスタートアップ増えてきていますが、無形資産の処理だったり、SOの会計・税務・法務。勉強をさぼってるかたは最近の会計基準・税制についていけてなかったりするものです。
僕はそういった専門家のかたがいること自体は仕方ないかなと。IPO目指していない中小企業じゃSOなんて無縁だし、はっきりいって会計処理なんて適当でもまぁなんとかなる世界です。税務ですら。そういった会社であっても税理士・会計士は必要で、そこではそういう会社にあった経験が求められます。
じゃあなぜ残念な座組が生じてしまうかというと
-アホな専門家が自分の能力を超えた業務を請け負う
-起業家が専門家を評価できない
この2つにつきます。
アホな専門家が自分の能力を超えた業務を請け負う
これは断固糾弾したい。
もうね、できないことを請け負うなと。その一言につきる。
起業家が専門家を評価できない
これは評価せよというのが無理なんですが、そうはいっても前述したような専門家は現実いるので自社の身は自社の身で守らないといけない。
一番効果的なのは人脈を利用することだとおもいます。とりあえずベンチャー界隈で活躍してるファイナンス系の方々やすでに先をいってる起業家の方々をあたっていい人紹介してもらうのがいいです。あとは最近だとFacebookでネットワークが可視化されたので、そこを辿ってみるのもいいかもしれないですね。ベンチャー界隈で有名な専門家って限られるので、その人に仕事を頼めなくてもその周りにいる人はそれなりの知見がある可能性は高いかもしれません。
いずれにしても近いとこにいた専門家をなんとなくで選んじゃ絶対だめです。
ミドル・バックオフィス能力不足は経営するに当たってボディブローのように効いてくるので、初期の段階での選択に気を使いたいですね。
2012年スタート
転機の年を終えて
2011年は自分にとって転機となる1年でした。
6月の半ばに5年勤めた監査法人を退職し、ベンチャー企業に転職しました。ステージとしてはまだまだスタートアップの域を出ないので、バックオフィス業務は何から何まで自分の管轄です。今までの専門家としての深堀りしたインプットではなく、広範な知識が必要な状況に追い込まれました。なんとか業務をこなしつつもインプットの時間は限れていて、またアウトプットも業務をこなしていくことに限られ、なかなか体系的に整理する時間がとれませんでした。
そういった反省もこめ、今年はプログというかたちでなるべく情報を整理したいなぁとおもいこれを書いています。また、CPAとしても先輩たちから教えをこうばかりではなく、自分からも情報発信していけたらなと。
でもまぁ気負うと長続きしないのでだらりと気が向いたら更新します。
ブログタイトルはそんな意味もこめて
というわけで2012年も皆様よろしくお願いします。